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【Wine活用講座】Debian LinuxでもAviUtlをインストールして使いたい!
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2021/12/20

著者も若い頃からお世話になっている口で、未だに多くの方が利用されているのは中々嬉しい限りです。
とはいえ、ここ数年は個人的な開発環境がほぼLinuxOSに移ってしまったことからAviUtlを使う機会もめっきりと減ってしまいました。
どうせならLinuxでもAviUtlが使いたい!と前々から考えていたので、ここではWineを使ったAviUtlの導入手順をまとめてみます。
Wineの導入
windows用のexe形式の実行バイナリをLinuxで動作させるのに一番手っ取り早いのがwineです。Debianでは、以下のコマンドでwineがインストールできます。
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install wine
#...インストール作業中略
$ wine --version
it looks like wine32 is missing, you should install it.
multiarch needs to be enabled first. as root, please
execute "dpkg --add-architecture i386 && apt-get update &&
apt-get install wine32"
wine-4.0 (Debian 4.0-2)
これでDebian Linuxにwineが導入されました。
途中、wine32を入れないといけないみたいな表示が出されます。
今回の手元のデスクトップではDebianOSは64bitアーキテクチャですので、コマンドラインでインストールされるのはwine64です。
AviUtlは基本は32bit向けでビルドされていますが、実際にはWindowsの64bit版でも動作できます。
Linuxも64bitOSが現在の主流で、64bit版のAviUtlでも動くのであればそれで問題はないのですが、以下のように
$ sudo dpkg --add-architecture i386
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install wine32
#32bit用のライブラリがインストールされる
#...以下略
Winetricksをインストール
これはパッケージインストールに対応してないので、公式のgithubレポジトリから最新のものをダウンロードしてシステムのbinにおいておくことで使えるようになります。
$ wget https://raw.githubusercontent.com/Winetricks/winetricks/master/src/winetricks
$ chmod +x winetricks
$ sudo mv winetricks /usr/local/bin
$ winetricks --version
20210206-next - sha256sum: 70cb95e4e404c173aa63e34355a11f6198238da183703eab93f327c77e52f972
ではWinetricksを使ってaviutl用のwine32利用環境をホームディレクトリ以下の
aviutl-wine32
wine用の設定フォルダを初期化するためには以下のコマンドを叩きます。
$ WINEARCH=win32 WINEPREFIX=~/aviutl-wine32 winecfg
すると以下の設定ダイアログが飛び出してきますが、ここではコマンドラインから設定するため一旦閉じておきましょう。

ちなみにwineの設定フォルダの中身は以下のようになっています。
$ ls -la aviutl-wine32/
合計 1344
-rw-r--r-- 1 owner owner 11 12月 19 17:51 .update-timestamp
drwxr-xr-x 2 owner owner 4096 12月 19 17:51 dosdevices
drwxr-xr-x 6 owner owner 4096 12月 19 17:51 drive_c
-rw-r--r-- 1 owner owner 1289760 12月 19 17:55 system.reg
-rw-r--r-- 1 owner owner 57809 12月 19 17:52 user.reg
-rw-r--r-- 1 owner owner 3358 12月 19 17:52 userdef.reg
では必要なラインタイムとライブラリをwinetricksで以下のように順番に入れていきます。
$ WINEARCH=win32 WINEPREFIX=~/aviutl-wine32 winetricks fakejapanese_ipamona
$ sudo apt-get install cabextract
$ WINEARCH=win32 WINEPREFIX=~/aviutl-wine32 winetricks vcrun2015
$ WINEARCH=win32 WINEPREFIX=~/aviutl-wine32 winetricks dotnet45
途中、visual stadioランタイムやdotnet4.5ライブラリのインストーラーが出てくるので、これも全て手動で導入しておきます。


またwindowsシステムではないので、再起動を求められても
後で再起動

余談ですが、Debianでのパッケージ版wineの安定バージョンが4.0で提供されており、wineの現行のプロジェクトが5.xになっているので、winetricksを使用中、以下の警告が仕切りに発生します。
warning: Your version of wine 4.0 is no longer supported upstream. You should upgrade to 5.x
この警告が気になる方はバージョン5系のソースコードをダウンロードしてリソースビルドするなどで対応してください。
これで設定フォルダに新しくインストールしたライブラリ群が反映されているか見ておきます。
$ WINEARCH=win32 WINEPREFIX=~/aviutl-wine32 winecfg
以下のように確かに
[ライブラリ]

次にターゲットとなるwindowsエミュレータのバージョンもより細かく指定できるようになっています。

ここではとりあえず
[Windows 7]
AviUtlのインストール
ここからはAviUtlのプログラムを準備しておきます。
とりあえずホームディレクトリに
aviutl_1.1
$ mkdir ~/aviutl_1.1
$ cd ~/aviutl_1.1
まずは公式からAviUtlの本体と拡張編集プラグインのzipダウンロード&インストールします。
$ wget http://spring-fragrance.mints.ne.jp/aviutl/aviutl110.zip
$ unzip aviutl110.zip
$ rm -rf aviutl110.zip
$ wget http://spring-fragrance.mints.ne.jp/aviutl/exedit92.zip
$ mkdir Plugins
$ unzip exedit92.zip -d Plugins/
$ rm -rf exedit92.zip
これでAviutlが最低限起動できる準備が整いました。
一度プログラムの起動確認をしておきます。
$ WINEARCH=win32 WINEPREFIX=~/aviutl-wine32 wine aviutl.exe
問題がなければ以下のように立ち上がるはずです。

このままだと動画・音声コーディックも殆ど無いようなものですので、以降でプラグインを追加していきます。
プラグインのインストール
まずはmp4等の動画を入力するために、
$ wget https://pop.4-bit.jp/bin/l-smash/L-SMASH_Works_r940_plugins.zip
$ unzip L-SMASH_Works_r940_plugins.zip -d Plugins/
$ rm -rf L-SMASH_Works_r940_plugins.zip
次に動画コーディック(x264)と音声コーディック(Qaac)を入れます。
動画コーディックを公開されている方は、プラグインをOneDriveなどで公開されているおりwgetで拾ってくると失敗するため、以下の3つのファイルを手動でzipファイルをダウンロードし
aviutl_1.1
なおファイル名は最新のものに書き換えてください。
[動画コーディックダウンロード先|x264_**
$ mkdir exe
$ unzip x264_3079_x86.zip -d exe
$ unzip L-SMASH_rev1484_x86.zip -d exe
$ rm -rf x264_3079_x86.zip L-SMASH_rev1484_x86.zip
$ unzip qaac_2.72.zip -d exe
$ rm -rf qaac_2.72.zip
最後にmp4出力に良く利用される
x264guiEx
v2.09以降が動かない可能性があるようなので、v2.09指定で手動ダウンロードしてきます。
$ unzip x264guiEx_2.09.zip -d Plugins/
$ mv Plugins/x264guiEx_2.09/auo/* Plugins/
$ rm -rf x264guiEx_2.09.zip
これで一通り使えるAviUtlになっていると思います。
動作確認〜起動設定まで
ではAviUtlが利用可能になっているかちょこっとだけ確認してみましょう。
まずは以下のコマンドでAviUtlを起動します。
$ cd ~/aviutl_1.1
$ WINEARCH=win32 WINEPREFIX=~/aviutl-wine32 wine aviutl.exe
AviUtlが起動したら何かmp4フォーマットを読み込んでみます。

mp4形式の動画が問題なく開けていればインポート用のプラグインが正常に機能しています。
ではmp4形式で出力保存できるかをチェックします。
メニューから
[ファイル] > [プラグイン出力] > [拡張x264出力(GUI)Ex]

[拡張x264出力(GUI)Ex]
[ビデオ圧縮]
初回はx264コーディック(画像)とqaacコーディック(音声)の実行ファイルへのパスが通っていないので、先程手動でzipファイルから展開した場所を指定します。
x264コーディック:
~/aviutl_1.1/exe/x264_3079_x86.exe
qaacコーディック:
~/aviutl_1.1/exe/qaac_2.72/x86/qaac.exe
各コーディックのパスさえきちんとこの時点で動画エンコードが問題なく出来ていると思います。

まとめ
今回はLinux環境でAviUtlを使う方法を確認していきました。
これでもう動画編集用のパソコンとしてWindowsOSを一台持っておかなくても良くなりますので、パソコンの切り替えを行う必要もなくて気が楽になります。
Wineで動かすアプリは少々重くなったり、不安定さを感じることがありますが、AviUtlのような優良ソフトウェアがLinux環境だけで動作するのは個人的には大きいと感じました。
参考サイト
記事を書いた人
ナンデモ系エンジニア
主にAngularでフロントエンド開発することが多いです。 開発環境はLinuxメインで進めているので、シェルコマンドも多用しております。 コツコツとプログラミングするのが好きな人間です。
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