ConoHa VPS(Linuxインスタンス)で最新のWine(Wine-HQ)をインストールする


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最新のWineのリリースバージョンが10になり、Windowsアプリケーションの動作もだいぶ安定してきました。
ここでは、Conoha VPSのDebian Linuxインスタンスへ最新のWineをインストールする手順を解説します。
なお、今回はDebian Linuxイメージを使ったWineHQの導入方法を試しますが、他のLinuxディストリビューションへのインストール方法に関しては公式のドキュメントから探してみてください。


参考|Wine Wiki - Download
ConoHa VPS

DebianにWineをダウンロードインストール



まず、そもそもDebianのパッケージマネージャからもWineは導入できるわけですが、

            $ sudo apt update && sudo apt upgrade -y
$ sudo apt install wine

#...インストール後
$ wine --version
wine-9.0

        

という感じに、おおよそDebian標準で提供されているアプリケーションは軒並みちょっと前の安定版が利用されることがほとんどです。
どうしても最新版が使いたい場合には、開発元の公式から提供されているようなバイナリダウンロード等を検討する必要があります。
では、
公式のDebian Linuxへの導入手順 を参考にしながらひとつひとつ作業を確認してみます。
最初にDebianインスタンス(64bit)でも32bitアーキテクチャが利用できるように、以下のコマンドで追加しておきます。

            $ sudo dpkg --add-architecture i386

        

レポジトリの追加



次にレポジトリを追加する前にDebianのバージョンを確認しておきます。

            $ cat /etc/os-release
PRETTY_NAME="Debian GNU/Linux 12 (bookworm)"
NAME="Debian GNU/Linux"
VERSION_ID="12"
VERSION="12 (bookworm)"
VERSION_CODENAME=bookworm
ID=debian
HOME_URL="https://www.debian.org/"
SUPPORT_URL="https://www.debian.org/support"
BUG_REPORT_URL="https://bugs.debian.org/"

        

ということで、ここでは
Bookworm(Debian12) 用のターゲットを利用します。
ダウンロード先のレポジトリキーを追加します。

            $ sudo mkdir -pm755 /etc/apt/keyrings
$ wget -O - https://dl.winehq.org/wine-builds/winehq.key | sudo gpg --dearmor -o /etc/apt/keyrings/winehq-archive.key -

$ ls /etc/apt/keyrings/
#👇レポジトリキー
winehq-archive.key

        

ダウンロードキーがインストールできたら、aptがWine-HQを探せるように、
sources.list にDebian12用のレポジトリ場所を追加します。
ちなみに、過去Debianの古いバージョンからOSアップグレードした際に残ってるsources.listがあれば事前に消去しておきましょう。

            $ ls /etc/apt/sources.list.d | grep winehq
#👇古い設定
winehq-repo.list

$ cat /etc/apt/sources.list.d/winehq-repo.list
#👇bullseyeのときに使っていたもの
deb [signed-by=/usr/share/keyrings/winehq.gpg] https://dl.winehq.org/wine-builds/debian/ bullseye main

#👇設定ファイルを抹消
$ sudo rm -rf /etc/apt/sources.list.d/winehq-repo.list

        

古い設定を消したら、ターゲットの設定を入れ直します。

            $ sudo wget -NP /etc/apt/sources.list.d/ https://dl.winehq.org/wine-builds/debian/dists/bookworm/winehq-bookworm.sources

$ ls /etc/apt/sources.list.d | grep winehq
winehq-bookworm.sources

        

正常に設定できていそうなら、パッケージをアップデートしておきます。

            $ sudo apt update

        

Wineをインストールする



最新版のWineをインストールする準備が整いました。
なお、最新版といっても
--install-recommends オプションから3つのブランチが指定できます。


            #Stable ... 安定版
$ sudo apt install --install-recommends winehq-stable

#Development ... 開発中のベータ版
$ sudo apt install --install-recommends winehq-devel

#Staging ... ステージされたばかりの機能実験版
$ sudo apt install --install-recommends winehq-staging

        

よって、
Stable < Development < Staging の順で、最近のWindowsアプリケーションが動作する可能性も高くはなってきますが、動作は不安定で、潜在的なバグが多く存在していることに注意が必要です。
特に理由もなければStable版をインストールしておけば良いでしょう。
インストールが成功したら、バージョンを確認してみましょう。

            $ wine --version
#👇現在のStableのバージョン
wine-10.0

        

現時点で最新バージョンとなるv10がインストールされたことが分かります。

Winetricksをインストールする



もう一つ
Winetricks も同時にインストールしておきましょう。
WinetricksはWineにランタイムやフォントなどのライブラリを追加するために利用するヘルパーツールです。
Wine上で動作させたいWindowsアプリケーションのよっては追加のランタイムが必要になってくるので、Wineと同時にWinetricksも入れておきましょう。

Winetricks自体はもともと個人開発で公開されてきたプロジェクトです。

Winetricks - github

インストールはGithub上のソースコードをビルドするか、ビルド済みのバイナリをダウンロードするかで、利用可能です。

            $ cd ~/Downloads
$ wget https://raw.githubusercontent.com/Winetricks/winetricks/master/src/winetricks
$ chmod +x winetricks
$ sudo mv winetricks /usr/local/bin
$ winetricks --version
Executing cd /usr/local/bin
20250102-next - sha256sum: fd4f57a2b385c89ea896a3a8115003e935551e410128b2353dfebe2915d93d3f

        

これでWinetricksがコマンドから利用できるようになりました。
ちなみに、winetricksをアップデートしたい場合、

            $ sudo winetricks --self-update

        

で、手動によるアップデートが可能なのは便利です。



ConoHa VPS

WineとWinetricksの簡単な動作確認



では先ほどインストールしたwineおよびwinetricksの動作確認を行ってみます。
まずwine単体ですが、以前の記事でwineでは組み込みのコマンドプロンプトが利用できる旨を説明していました。

合同会社タコスキングダム|蛸壺の技術ブログ
【Wine活用講座】WineでLinuxからでもWindowsのcmdを実行してbatファイルを動かす方法

Linux Wineのcmdコマンドを使って、Windowsのbatファイルを実行する



単純にこれを試すと、

            $ wine cmd
#...中略
Microsoft Windows 10.0.19043

Z:\root>echo Hello
Hello

        

で、エラーがなければ問題なくインストールできていそうです。
次に、winetricksですが、まずはwineでインストール可能なライブラリを確認します。
listサブコマンドは、表示可能なカテゴリがピックアップできます。

            $ winetricks list
apps
benchmarks
dlls
fonts
settings

        

例えば、日本語フォントを追加したい場合、

            $ winetricks fonts list | grep Japanese
#👇インストール可能な日本語一覧
cjkfonts                 All Chinese, Japanese, Korean fonts and aliases (Various, ) [downloadable]
fakejapanese             Creates aliases for Japanese fonts using Source Han Sans fonts (Adobe, 2019)
fakejapanese_ipamona     Creates aliases for Japanese fonts using IPAMona fonts (Jun Kobayashi, 2008)
fakejapanese_vlgothic    Creates aliases for Japanese Meiryo fonts using VLGothic fonts (Project Vine / Daisuke Suzuki, 2014)
ipamona                  IPAMona Japanese fonts (Jun Kobayashi, 2008) [downloadable]
takao                    Takao Japanese fonts (Jun Kobayashi, 2010) [downloadable]
vlgothic                 VLGothic Japanese fonts (Project Vine / Daisuke Suzuki, 2014) [downloadable]

        

という感じでお目当てのフォントが表示できます。
あとはwinetricksでこれらのランタイムを追加していくだけです。
追加は、フォント・アプリケーション・ランタイム等々、一括でしていすることも可能です。


            $ winetricks -v cjkfonts busybox vcrun2022

        

なお、
winetricks をGUIから動かしたい場合、zenityかkdialogのGUIレンダリングエンジンが必要です。
例えばzenityをインストールして、GUI起動させてみます。


            $ sudo apt install zenity -y
$ winetricks

        
合同会社タコスキングダム|蛸壺の技術ブログ


SSHを使わない場合には、GUIからのほうが便利に操作できます。



ConoHa VPS

まとめ



今回はConoha VPSのDebianインスタンスを使って、Wine/Winetricksのインストール手順を確認しました。
同然といえば同然ですが、wineを導入する時間が惜しい、手順がやや煩雑に感じられた場合にはConoha VPSのwindowsインスタンスを利用を検討してみてください。